- top
- risako nagata
- 読書と対話
読書と対話
わたしは本を読むのが大好きです。小説を読んでは何かとモヤモヤ考え、エッセイを読めば著者の癖まで真似したくなる。積読本は軽く100冊を超え、本棚はすでに限界を迎えてキッチンや脱衣所にまで本が進出しています。
最近は「読書会」に参加するのが大きな楽しみになっています。読書ってすごく個人的なものだと思っていたのですが(もちろん一人だけで物語を抱きしめることも大好きです)、人と物語を共有するのってこんなに楽しいんだ...!と気づいてから、ちょくちょく参加するようになり、最近では自主的に友達と開催したりするようにもなりました。
読書会にはいろんなタイプがあります。
----------------------
・課題本を読んで集まり、その本について話すタイプ
・それぞれのおすすめ本を紹介するタイプ
・その場で用意された本を少し読んで、即興的に話すタイプ
----------------------
もっといろいろあるとは思うのですが、わたしは課題本を読んで集まるタイプの読書会がとても好きです。同じ本を読んだはずなのに、出てくる感想がバラバラで、「え、そんな読み方があるの?」「そこに注目したんだ!」と驚かされることばかり。本の中の一行について延々語る人もいれば、全体のストーリーはそっちのけで登場人物のセリフについて熱弁する人もいて、毎回ちょっとしたカオスです。本の話題から脱線し、社会問題やどうでもいい笑い話に接続して盛り上がることもしばしば。ひとりで読むのももちろんいいけれど、誰かと話すことで物語がもう一度立ち上がる瞬間は、ちょっとした魔法みたい。ひとりで本を読んでいるだけでは味わえない"予想外"がそこにあります。
気候がいい時は大勢で集まって公園でピクニックしながら読書会をしています。美味しいものをみんなで持ち寄って、ワインなんか飲んじゃったりして。音楽をかけながらのんびりとみんなでお話をするのが本当に楽しくて、今からその季節が待ち切れません。(まだまだ暑いのでもう少し先かな...)
最近は読書会にくっつけて、哲学対話もやるようになりました。哲学対話とは、ひとつの問いをみんなでじっくり考え合う時間のこと。たとえば「やさしさって何だろう?」とか「孤独と自由の違いは?」なんて問いを立てると、普段ならスルーしてしまうようなテーマについて、不思議と話が広がっていきます。みんなで真剣に、でもどこかゆるやかに語り合う時間。答えが出るわけじゃないけれど、その過程で「人と考えを重ねるって、こんなに豊かなんだ」とじんわり思います。難しい理屈よりも、人との対話のなかで「ああ、自分はこんなふうに考えてたんだなあ」と気づけるのがとても面白いのです。
結局、本を読むのも、読む人と語り合うのも、どちらも"物語の延長"みたいなものなんだと思います。本のページを閉じても、会話が続く限り物語はまだ終わらない。そう考えると、読書はとても個人的なものでありつつ、実はとても社交的な趣味なのかもしれません。読書会という体裁を取らなくても、友達と同じ本を読んで集まるだけでも、いつもと違う質感をもつ会話ができるのではないでしょうか。ぜひみなさんも機会があればやってみてほしいです!