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ロゴからインテリアまで 統合的なブランドコンサル

仕事
May 11,2017

今回は、digが手掛けたブランドコンサルティングの事例を少し紹介したいと思います。

digでは通常の業務として、ブランド調査、ブランド戦略立案、ブランド開発、ブランド管理、ブランドコミュニケーションという、5つのフェーズで企業のブランド支援を行っています。

今回のプロジェクトは、去年の夏から半年以上かけて、5つのフェーズを掘り下げて行いました。

14階のジムエリアはかなりの広さがあります。
施設全体、2フロアのパースの制作も担当しました。
いつものようにプロジェクトは突然の相談依頼から。
クライアントは、全国規模でフィットネス事業を展開する株式会社ルネサンス。
全国に100施設、40万人の会員を持つ、売上国内3位の上場企業です。
名古屋駅に直結する新しい商業ビル、JRゲートタワーの13、14階に、今までのルネサンス業態とは異なる新しいフィットネスクラブを作りたい、そのブランディング全般をお願いしたいという依頼内容でした。
プロジェクトの規模が大きくて、お話を伺った際にはワクワクしましたね。
このビルは、B1から8階までが名古屋駅で2つめとなる高島屋、15階から24階まではホテルが入る大型の商業施設。
つい先日、ゴールデンウィークにオープンしました。

最近のエリア開発で多くの大手企業が集まる名古屋駅周辺、中でも今回のビルは名古屋駅に直結する抜群のロケーション。
それまで首位だった松坂屋を抜き去り、2015年には名古屋の百貨店で売上1位となったJR名古屋タカシマヤが、駅周辺をさらに活気づけています。
それに伴い、名古屋駅周辺のイメージも、オシャレ、都会的、エグゼクティブなどに変化しました。
栄からバトンをもらって、消費の中心になりつつあるのが現在の名古屋駅周辺です。
ビルを取り巻くこうした周辺環境を分析し、今回のターゲットは名古屋駅で働くビジネスマンだけでなく、駅を利用するすべての人、その中でも特に女性をメインターゲットに設定しました。
また消費を牽引するJR名古屋タカシマヤの上顧客、東山線を利用する富裕層も視野に入れつつプランニングを行いました。
3つのフランス語を組み合わせたブランドのシンボルマーク
ロゴを展開した各種ツールデザイン
既存のルネサンスのビジネスモデルは、施設から同心円状に近隣居住者を会員化する戦略。
どちらかというと、郊外型のモデルでした。
しかしこの施設に限っては、立地背景から近隣在住者ではなく、過去のルネサンスにはない新しいターゲットに絞ってアプローチする必要があります。
駅直結の利便性という機能訴求だけではなく、今の30代をメインとした女性のライフスタイルに寄り添った、感度による集客アプローチが必要だと考えました。
その背景には、健康への興味の高まり、サイクルやトランポリンなど様々なブティック型エンターテイメントフィットネスの出現、タレントの中村アンさんに代表されるような鍛えられた身体がファッションとしてカッコいいという概念、オーガニック志向と結びついたヨガの定着など、健康を取り巻くトレンドを見過ごすわけにはいきません。
一方で、女性の社会進出、それによるワークスタイルの変化、個人の価値観の多様化なども考慮する必要があるでしょう。
ジムに通う目的も変化しています。
軽い気分転換から本気のトレーニングまで、運動不足を解消したい人、結果にコミットして痩せたい人、楽しんでつながりたい人、その理由も様々です。
そのため、施設に通う頻度も、そこで過ごす時間も、人によって異なるだろうと考えました。
忙しいビジネスマンには時短で効果のあるプログラムを、ゆったり時間を過ごしたい人にはリラックスできる施設利用を、カラダとココロ、どちらのニーズにも応える施設という考え方が必要だと。
施設名称にもこの考え方を落し込み、身体と心の質を高めるという意味で、カラダ(corps=コール)、ココロ(coeur=クール)、質を高める(qualite=カリテ)、3つのフランス語を組み合わせた造語で、Coqul(コクール)というネーミングを考案しました。
ロゴマークは、この3つの要素を3本のラインで表現したデザインにしています。

短い時間で確実に効果を上げたい(カラダ)、時間を使ってゆったりとくつろぎたい(ココロ)、どちらのニーズにも応えること。
こうした相反する要素を表現するために、DUALというコンセプトワードを立案しました。
老若男女をターゲットにした既存のルネサンスではなく、ターミナルという立地から考え、駅周辺で働く&駅を利用する30代の男女、特に色々なライフスタイルを持つ働く女性たちにフィットする都市型の施設であるという位置づけです。
DUAL STYLE FITNESS
この言葉を施設のコンセプトワードとして、コピーライト全般も担当しました。
販促用の紙のチラシとリーフレット。構成からコピー、デザインまで
ターゲット、コンセプト、ロゴ、カラーが決まって、次に手掛けたのは施設のインテリアです。
思い切りカラダを動かすジムエリア、ゆったりとココロを満たすヨガスタジオやカフェや浴室などのエリア、それぞれで内装も異なっているべきであり、それを特徴的に表す提案を行いました。
しかし、ビルの建設を行う段階で基本の内装工事はほぼ終わっていたために(床と壁)、すべてを実現することはできませんでした。
実現可能な範囲に限り、ファサードの設計、サイン、案内ピクトグラム、家具、施設内エリア名称など、提案の多くを採用していただいています。
特にもっとも重要な、施設の顔であるファサードとエントランスのデザインは、設計から任せていただきました。
ファサードは、ドットによるアスリートのシルエットで構成したグラフィックパターン。
ライフスタイル商品を扱うショップ寄りのプランも提案しましたが、スポーティに見えるこの案が選ばれました。
現場が遠く、実寸で全体を見ることができないので、グラフィックの作成は難しい作業でしたね。
コンセプト同様、ターゲットのライフスタイルにマッチする空間とはどういうものか?、他の施設事例や競合分析を行なった結果で提案しています。
ファサードの設計。グラフィックパターンの粒度の調整。
こんな感じに施工されているはずです。パースは弊社で。
施設内のサイン計画。すべてピクトグラムで構成。
コミュニケーションフェーズでは、モデルオーディションから撮影、それらの素材を使った紙ツールの作成、Webサイト構築、デジタルAD、施設で流すデジタルサイネージなど、広い範囲での制作を手掛けています。
通常だと、プランニングと制作は切り離され、別々の会社が担当することが多いため、アプローチもバラバラになってしまうことも多いと思います。
今回はコンセプト立案からワンストップで制作まで手掛けているため、広告展開含めて1本筋の通ったアプローチになったと自負しています。
モデルの撮影は静と動の両方のイメージで
こちらはオープン前のティザーサイト。
ゼロからコンセプトを作り、インテリア、紙、Webなど、様々なメディアに展開していくこと。
コンセプトを明確に書面化し、共有したからこそ最後までブレることなく、一気通貫で行うことができました。
迷ったらコンセプトを再認識すればよい。
だからこそ、強く明確なコンセプトを最初に立案する必要があったと思います。
規模の大きなプロジェクトで、大いに勉強になりました。
半年以上の長いプロジェクトで、会社の半数くらいのスタッフが携わっています。
試行錯誤はありましたが、彼らもよい経験ができたと思います。
ブログで記事にするのは簡単ですが、ここまでたどり着くのに相当な時間を使い、スタッフも本当に根気強くよく頑張ってくれました。
素晴らしいスタッフと働けて嬉しいです。

コクールは、オープン前から既に定員オーバーとなり、大好評のうちにスタートを切っています。
そして、ここで行ったプロセスが評価され、再び次の新規事業ブランド開発の依頼にもつながっていくのでした。
皆さん、もし名古屋に行く機会がありましたら、覗いてみてください。

制作した現在公開中の本番サイトはこちらです
https://coqul.s-re.jp/cq/

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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