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JRは東京に新しい街を作れるか? GATE WAY

東京
Apr 07,2026

古くは森ビルが仕掛けた六本木の再開発、

三菱地所による丸の内のブランディング、横浜みなとみらい、

最近では、思い出のSEIBUも取り壊してしまう100年に1度の渋谷大改造、

イギリスの富裕層向けライフスタイルマガジンMONOCLEのタイラー・ブリュレを起用した森ビルの麻布台ヒルズのプロジェクト、

東急が手掛けて、地下に高円寺の銭湯を作ったハラカド、

あるいは荒木信雄によるsony park ginza(地下のBARがgood)などなど。

これらは、その土地が元々持っているポテンシャルをさらに引き上げて、イメージで認知を広げようとする試み。

一方東京で新しい街をゼロか作るというプロジェクトは過去になかったのでは。

そもそも駅すらなかった場所に、新しい街をつくることなんて。

駅名からブランディングが始まっていた壮大なプロジェクト。
高輪ゲートウェイ、この駅名が一般公募で決まった時、なんかダサい、まったく馴染めない、もっと票の多かったいいネーミングあったのに、なぜ票の少ないこの名前を選んだの?という印象を多くの人が持ったのではないでしょうか。
自分もまったく同感でした。
なんで英語なん??
これがJRが仕掛けた最初の一手。
新しい駅を作れるのはJRの特権です。
電鉄系ではない、他の不動産デベロッパーにはできない。
そして隈研吾を起用し、イベント会場のような駅を作った。

そもそもこの場所は、JRが所有する田町車両センターで、いわゆる電車の車庫でした。
山手線と京浜東北線の車両をすべて格納しておく場所なので、それなりの広さが必要。
電車しかない20ヘクタールの広大な土地で、元々人が住んでいた場所ではない。
人が自然派生的に集まってできた、歴史的背景がある街ではないのです。
そこに新しい駅を作り、ゼロから街を作って人を集めようという、JRの気合いの入ったチャレンジングなプロジェクト。
JRが手掛けた商業施設として、荻窪のルミネ1号店以後、MY CITY、アトレ、エキュート、NEWoMAN、これまでたくさんの成功ノウハウが社内に積み上げられているでしょう。
でも人のいない場所に、人工的に街=文化的な営みをつくって定着させるって大変なことではないか。
自分は今でも人工的に作られた、お台場や東雲には馴染めません。
NEWoMAN TAKANAWAの1階空間
総称は高輪ゲートウェイシティですが、みんなが気になっているのは、やはり駅直結の商業施設NEWoMAN TAKANAWAだと思います。
ここまで全部で3つのビルを建築し、段階的にオープンしてきましたが、3/28に最後の1棟が完成し、グランドオープンに。
JRの挑戦を見てみたいという想いで、さっそく行ってきました。
行ったのはグランドオープンの翌日ですが、祭りのイベントが開催されていたものの、思ったより人が少ない。
オフィス棟のフロアにまだ企業が入っていないからかもしれません。
今ならどこでもゆったり見られます。
3棟もあるので、かなりデカいため1日で見るのは無理と思うかもしれませんが、人がいないので楽に見ることが可能です。
店も並ばず入れる。
駅直結の巨大ビルを3棟建設
NEWoMANは新宿や横浜にあるんで、皆さん知っていることでしょう。
LUMINEより1つ上の大人を狙った商業施設です。
設計プランや内装に、今までのNEWoMANと共通点が見られますが、高輪は延床面積が広いために、贅沢なフリースペースが多く用意されている。
フリーの椅子があちこちに配置されていて、どこでも休憩できるようになってます。
そのスペースの形状は様々で、どこもデザインされているのがNEWoMANならではでしょう。
そもそもこれは、施設が広いからできること。
新宿にもその要素はありましたが、面積が狭いために十分ではありませんでした。
ただ全体のプランには既視感もあって、新宿のNEWoMANができた時のようなエッジな世界観はあまり感じません。
(新宿のサインは木住野さんだったけど、高輪はNSSG?)
ちょっとドメの百貨店ぽいところもあり。
そういう意味では、麻布台ヒルズの方が尖っているかなと。
29階からは東京を一望できます。
無料で行ける最上階にはフリースペースもたくさん。
でも、もちろん見どころはあります。
まずは28、29階にある、植物園のようなフロア。
ルフトバウムという名前ですが、500本以上の植物が植えらえていて、高層階なので景色もよく、都会のオアシスのような空間です。
そしてココ無料なのがよい!
東急や森ビルみたいに入場料を取らない(ハラカドは取らないけれど)。
レストランも高くないし、誰でも入れる公園みたいで、高校生、大学生のデートには持って来いの場所です。
このあたりがJRの良さですね。(MIYASHITA PARKと同じ)
そこにDAIKEI MILLSが設計したLOOPSがある。
昭和の喫茶店と、ラグジュアリーなパリのホテルの中庭を組み合わせたような内装プランがよいです。
DAIKEI MILLSといえば、亀有にできた今話題のカルチャーの聖地SKWATのオーナーですね。
ここで代々木公園にあるフグレンのコーヒーが飲めます。
ホテルの中庭のようなDAIKEI MILLSが設計したLOOPS
それとサウス館の5階に本屋のBUNKITSUがあるんですが、この広さがスゴイ。
GINZA SIXのように、商業施設の上階には書店を入れるっていうセオリーもあるようですが、1000平米に10万冊!!!
街の書店が次々と消え、TSUTAYAも元気がなくなってきた昨今、本屋好きとしては本当に嬉しい限りです。
今まで当り前だった、歩いて行ける生活圏内で立ち読みっていう日常の行為は消えて、本とのリアルな出会いは、センターの商業施設でしかできない特別な非日常体験ってことになるのでしょうか。
流行り?ここにサウナ作っちゃうの??
あと、上階にあるタナカカツキがプロデュースした高輪SAUNAS。
渋谷SAUNASに続き、タナカカツキの名前を聞いて、個人的には嬉しかった。
古くはブッチュくん、コップのフチ子さんで広くブレイクしたアーティストのタナカカツキさん、「サ道」の作者でもあります。
サウナというと、いわゆるその筋の人(ちょっと苦手なマーケターみたいな思考の人たち、女子ならSAPやってる人、いわゆるインフルエンサー)を思い浮かべますけど、タナカカツキっていうサブカルの人が入るとその要素が中和されて、少し安心するのは自分だけでしょうかw
でも商業施設にサウナ?という意外性、流行ってるなら何でもいいのかよ、あからさまな客寄せか?って思いもありつつ、タナカカツキ効果でカルチャーに昇華されているのかな、、、、? このあたりはわかりません。
高輪サウナも巨大なんですけど、普通の商業施設なら、この面積があればシェアオフィスを入れると思うんですよね。
ハラカドの銭湯は明らかに外国人狙いでしょうけど、ここのサウナは日本人狙いかと思われます。
中目にも今月スカしたデザインサウナができるしな、、、こういうノリ個人的には違和感あり。。。
VERMICULARが異なる業態で3店舗
あとこれは自分だけが感じたことかもですが、VERMICULARの戦略がスゴイってこと。
5年前くらいですかね、高級鍋で大ブレイクしたVERMICULARですが、それまでル・クルーゼやストウブなどインポートしかなかったホーロー鍋分野に国産メーカーとして初めて切り込んできて、とても売れました。
代官山ヒルズの向かいに2フロアで、販売ショールームとデモキッチンをオープンさせたんですが、2年くらいでクローズしてしまい、一時の人気も落ち着き、下降し始めたんかなと思っていたんです。
百貨店の売り場と違って、鍋だけであんな広い面積の家賃を毎月払うのは、そりゃ大変だったんだろうと勝手に思ってたんです。
それが、NEWoMANの1階に3店舗あるじゃないですか。
右も左もVERMICULARの入口なんです。
鍋ショップ、パン屋、レストラン、異なる3業態。
3つ合わせたら、代官山にあったショールーム&キッチンより広いじゃないですか。
攻めてますね オドロキました。
すべて異なるデザインで展開するAesopの店舗は冴えてますね。
最後に。
3つの棟でターゲットはそれぞれ異なる設定になっていますが、そのうちの1つに今を感じる売場ありました。
NEWoMAN TAKANAWAは、ドメの百貨店のようだと書きましたが、これもそれに含まれると思うんですが、香りのショップがめちゃ多いこと。
ドリスヴァンノッテンやマルジェラ、ともにその洋服は売ってないのに、パフュームだけの店がある。
エルメスもプラダも入ってますが、服はなくて、フレグランス専門店。
サンタマリアノヴェッラも、こんなにデカいショップは路面でもかつてなかった。
トラフが設計したユニークなAesopも入ってます。
ドメ百貨店の横綱、伊勢丹新宿も、それまでシャツ売ってたメンズ館の1階半分はすべて香りのフロアに変わりましたが、それと同じようにNEWoMANも新宿や横浜より、フレグランスの床面積が明らかに増えてます。
逆にハイブランドのファッションは1つもありません。
日本人ってこんなにフレグランス好きだっけ?
Le LABOとか、NON FICTIONとか、話題の香りが次々と出現する昨今。
この増床はインバウンド向け?日本人のニーズの高まりでしょうか?
謎ですが、数字が取れるという裏付けがあるのは確かでしょう。
それが証拠に、前述の代官山VERMICULARの場所は、韓国コスメで土産の定番TAMBURINSに変わってます。
施設スローガンは「新しい人たちの方へ。」
以上が主な個人の感想です。
総括すると、3棟を見ると東京の今がわかります。
それも消費ど真ん中のマスの東京がわかります。
・パルコのようなアニメやゲームの要素はない。
・二子玉川のような子供向けの商材はない。
・麻布台ヒルズのようなハイブランドのファッションはない。
だから、極めてマスな、ど真ん中の普通の人の東京トレンドがわかります。

NEWoMAN TAKANAWのキーワードを挙げるとしたら、
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クラスター1:パン、コーヒー、器、雑貨と家具
クラスター2:キャンプ、サウナ、ストリート、フェス
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それぞれに掛け合わせで、黒が好きなスタイル派(The North face愛用)、素材が好きなナチュラル派(室内グリーン好き)
そして、それらすべてに香りが加わるというような、クロスターゲットになっている。
たった数時間滞在しただけでの考察なので、浅いとは思いますが、わかりやすく言っちゃうと、二子玉川のクラスターから子供を抜いたような、高マンカースト(高層マンション選民思想)を抜いたイメージでしょうか。
そこには、味付けとして二子玉にはないサブカルチャーの要素が少しだけ加味されている。
手を伸ばせば届く自分の知らない情報、少しだけ先の今を、JRの電車に乗って体験しにいく場所、そんなところですね。
それほどエッジな要素はないけど、車ではなく電車で行ける、要は手の届くところにあるちょっとした新しい体験って感じです。
それも東京の今らしいところでしょうか。

今回行ったのはNEWoMAN TAKANAWAだけですが、それは消費を目的に外部から人が訪れる施設。
そこに住む人が利用する前提ではありません。
人が住んでなかった電車の車庫は、文化が息づく街「地元」と呼べる場所になれるのか。
都内の再開発は、十条などの失敗例もありますが、企業が街を作れるかを見て行きましょう。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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