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企業のロゴリニューアルに見る戦略

仕事
Jun 25,2020

ここ最近、企業のロゴリニューアルが加速しています。

それはもちろん、デジタルへの対応を前提としたリニューアルであり、具体的に言ってしまえば、スマホでの閲覧を前提として、アイコン化しても崩れないもの、ハッキリとした印象を残すためのアプローチです。

そのためにどの企業もみな太いゴシック体に変更していっている、という状況でしょう。

最近リニューアルした企業ロゴの一部を紹介します
そうするとどうなるか。
どこの企業も同じようなロゴになってきます。
以前このブログでブランドや企業のロゴは旗印の役割に過ぎないと書きましたが、だったらいっそ日本の家紋みたいに発想してもいいじゃないかと思います。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2020/03/post-85.html
家紋のマークってすべて円だけでできていること、知ってました?
極めてシンプルな要素=円または弧だけの表現で、あんなに多様なバリエーションがあるなんて、日本の家紋は素晴らしいと思います。
スマホのアイコンとしても機能するように思いますね
そりゃルイヴィトンもインスパイアされますよ。
透明になるとなんだか、逆にインパクトは薄いかも?
さて、では最近の事例からいくつか紹介しましょう。
ホットなニュースとして、BMWが3月に企業ロゴを変えましたね。
以前は3Dの立体的なロゴでしたが、2次元の透明なロゴに変わりました。
これはもう車のエンブレムではないことを意味しているように思います。
車を通したコミュニケーションだけではない、そこに進化しようとする企業姿勢が感じられます。
他分野におけるコミュニケーションアイコンと位置付けているのです。
しかし、2020年の3月まで、車のエンブレムのような(昔アップルもそうでしたけど)3Dロゴをまだ使っていたのかという、逆にちょっと驚きです。
そして透明になっちゃっているのも、ちょっと違和感はありますね。
車のような物質的なハードとしての存在ではなく、目に見えないサービスを提供するインフラとなるってことなんでしょうか。
上がアプリ、下が企業ロゴ。それらを区別する戦略には賛同
次にFACECBOOKです。
これは有名だから皆さん知ってますよね。
買収した「Instagram」もFACEBOOK社のサービスですが、今までは特にFACEBOOK社の提供だというクレジットはありませんでした。
それが今では「Instagram」の画面に「from FACEBOOK」と表記されています。
アプリ単体サービスではなく、会社名を訴求していく戦略に変更ですね
この場合、今までのfacebookのアプリロゴを使用すると混乱してしまうため、サービスとしてのfacebookではなく、企業としてのFACEBOOKロゴを作る必要性に迫られたと思われます。
今までのfacebookは、アプリのライトブルーが企業イメージでしたが、昨年開発された新しいCIロゴは、固有色を持っていません。
提供するサービスによって、色が変わるカメレオンのような仕様となってます。
ある意味、BMWとも近いアプローチでしょう。
洗練されてないけれど、会社がスタートした時の方が個性があってユニーク
スタートアップから大きくなった日本企業の方がアメリカより個性があり楽しい
アメリカの会社のロゴを少し調べてみましたが、facebookやインスタのように、スタートアップで会社が小さい時にはロゴも個性的でユニークですが、資金集めに成功し、会社が大きくなると、どの会社も同じように、既存書体を用いた特徴のないロゴになっていく傾向があります。
「上がり」ってことを言いたいのだと思いますが、区別する要素は色のみで、デザインだけ見るとこれは進化ではなく、無個性=退化のように映ります。
この傾向はIT企業に顕著で、そもそもアプリのアイコンがロゴの役割を果たしているので、企業のロゴが重要だとは考えていいないことの表れだと思います。
旧来ビジネスのように看板やショッパーが存在せず、デバイスの中にのみ体験価値があるため、そのような考えに至るってことですね
これでよいのか?メルカリがアプリのアイコンを変更。
そう考えると、日本の企業はITであっても、スタートアップから成長して大きくなったあとも、アメリカのIT企業のように画一的なロゴにはせず、企業ごとに個性を持っています。
このアプローチの方が見ていて楽しいですよね。
ITからスタートアップして大きくなったメルカリもその1つですが、CIロゴを2018年に変更した際、視覚的なノイズを取り除き、よりダイレクトに記憶に残るイメージへと調整してさらによくなったように思います。
その後アメリカに進出しましたが、アメリカでしばらく国内のロゴを使っていたものの、ゴシック書体で組まれた新しいロゴに変更しました。
日米の文化の違いはあるにせよ、これでいいのかは謎です。。。
このリニューアルを見て、昨年同様に刷新したヤフーのロゴを見ると、なるほどねぇという気もしますけど。
どちらもストレートなゴシックになっています。
古いものから順に並べてみました。最新ロゴにはスタート時のDNAは見られません
可読性の強調、太いゴシックでどの会社も同じような方向性に
最後に国内事例で、去年のダイソーのロゴリニューアルを紹介しておきましょう。
個人的にはこのリニューアルはよい事例だと思います。
というか、それまでがヒドすぎたというべきか・・・
店舗のサインもバラバラで色も決まってない、そんな状況でした。
ここまでヒドイ状況もあんまりないと思いますがw
個人的にこの展開は好きです。問題は今も変わってない店舗がたくさんあることですww
新しいロゴはAの部分が矢印になっており、「人々の生活をアップデートしていく」「人々の生活をより豊かにしていく」という決意と熱意を表現しているというコンセプト。
この目立つショッキングピンクと矢印が店のサインだけでなく、店内の導線サインにも活用され、オリジナル商品のアイキャッチにも使われています。
以前よりずっとよくなりましたね。
購買体験にしっかりと視覚イメージを差し込むように変化したと思います。
アプリはあるのかどうかわかりませんが、SNSでもしっかり目立ってます。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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