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「シン・ウルトラマン」と武蔵野美術大学

映画
May 19,2022

公開初日に映画「シン・ウルトラマン」を見てきました。

そんなに話題にもなってないだろうしレイトショーだから、人はいないだろうと踏んでいたら、初日からかなりの人で複数のグッズが既に売り切れという状態で、、これには少しオドロキです。

いま特撮ファンってこんなにいたんですねぇ

もしかすると斎藤工効果?Hey! Say!JUMP効果?、それとも長澤まさみ効果でしょうか?

でもそうだったら、そういうファンはグッズは買わないだろうしなー。意外です。

カラータイマーのない成田亨のオリジナルウルトラマン
ウルトラマンは子供の時に見てました。
ハヤタがベーターカプセルを持った右手を天に高く上げて変身するシーンのマネをしたものです。
変身シーンだけで言うと、仮面ライダーの方がクラスでは一般的でしたけどね。
当時は今と違って派閥もなく、円谷と石ノ森、どちらもファンでした(どちらかというと円谷派)
しかしウルトラシリーズで言えば、個人的にはウルトラマンよりセブンの方が好きです。
ストーリーの深さ、怪獣ではなく宇宙からの侵略者というリアリティ。
マンよりモダナイズされたデザイン、劇中に流れる音楽の大人のムードなどなど好きな理由は色々、
もちろん見ていた当時はストーリーの背景に日米安保や反核のテーマが隠れていることなど、まったく気が付きませんでしたけど。
科学特捜隊で残っているのは3人のみになってしまいましたね
ウルトラマンは勧善懲悪の世界なのに、どこか物悲しい雰囲気が漂っていることを子供ながらに感じていました。
マンのあとに放映されたセブンにも、継続して同じ雰囲気がありますが、続く「帰ってきたウルトラマン」からはその要素はない気がします。
もちろんタロウやレオにもないですね。
そういう意味では、初代ウルトラマンは子供向けながら、シリアスな雰囲気が漂っていたように記憶しています。
セブンはボックスセットを持っているので、繰り返しシリーズを全部見てますが、ウルトラマンの記憶はすごーく遠くてうろ覚えです。
代表的な怪獣がたくさん出てきたのはよく覚えてますが。
成田亨の造形が冴えるメフィラス星人は今回も出てきます
初代ウルトラマンを倒すゼットンは今回ラストでも登場
シン・ウルトラマンはシン・ゴジラが公開された頃から、制作が決定していると聞いていました。
思いのほかシン・ゴジラが面白かったので、同じ庵野秀明監督が脚本を手掛けるシン・ウルトラマンもきっと面白いに違いないという期待もありました。
庵野監督が大阪芸大の時に撮影した「帰ってきたウルトラマン」の映像のクオリティがマジで、マジでものすごく高く、ウルトラマンへの愛が、そして特撮に対する深い愛があることを知っていたからです。
庵野監督の学生時代の作品、DAIKON FILMの映像を見たら、きっと誰もが才能のある人は若い頃からスゴいんだなと思うはずです。
1983年に作られた自主制作作品ですが、セットも模型も、本家とほぼ同じクオリティ。
シン・ウルトラマンよりすごいかもです。


シン・ウルトラマンはオリジナルのウルトラマンと異なる要素があります。
怪獣は「禍威獣」に漢字が変わっている。
科学特捜隊=科特隊は同じように「禍特対」に変換されている。
ウルトラマンの故郷、光の国は「光の星」に。
ウルトラマンは、初代ウルトラマンをデザインした成田亨のデザインを忠実に再現し、胸のカラータイマーがない。
CGなのでボディの質感が金属っぽく、宇宙人の感じがあってカッコいい。
怪獣もオリジナルと形態は同じだが、顔が違ったり、バージョンアップしている。(しかし人が中に入っている感じはそのまま残している)
身体が光っていて細身で美しいシン・ウルトラマン
もちろんオリジナルの初代ウルトラマンと同じものもたくさんあります。
オープニングのタイトル(ただしCGで表現)
電話の音、劇中の音楽、
スペシウム光線は、初代ウルトラマンの作画をトレースして表現。
ウルトラマンのスーツアクターである天城隊員(セブンに隊員として出演)の体形をCGで表現。
「そんなに人間を好きになったのか、ウルトラマン」という印象的な最終回のセリフ。
50年前のスペシウム光線をトレースしてるのでアナログ感あります
感想についてはここでは書きませんが、シン・ゴジラの流れを汲んでいて、ストーリーもオリジナルからの引用です。
オリジナルを見たくなりますね。
そして自分が大好きな実相寺監督のようなカメラアングルが連発で、これが出てくるたびにニヤニヤしてしまいました。
米津玄師の歌う主題歌のPVロケはムサビで行われてます。
小学校の時に買った同じくムサビ卒成田亨による画集(まだ持ってる!)
そしてこのウルトラマン、僕の卒業した大学とも関わりがあるのです。
ウルトラマンをデザインした成田亨は武蔵野美術大学の彫刻科を卒業。
シン・ウルトラマンの主題歌を歌っているのは米津玄師ですが、そのMVの撮影場所は同じくムサビです。
そして、、、、自分も在学中に、リリー・フランキーや大学の友人たち10人くらいと一緒に、東宝撮影所でウルトラマンのスーツを着るアルバイトをしたことを想い出しました。
午前中がウルトラマン、午後が怪獣の撮影で、どちらもやりましたけど、
自分は背が大きいので、ウルトラの父と指示されて父役でしたw
ウルトラマンのスーツって着るとピタピタで、顔の部分にほとんど空間がないため息が苦しく、前は見えないし、派手なアクションなどとてもじゃないけどできないことを実感しました。
シン・ウルトラマンはCGだけど、スーツアクターって大変な仕事だということが身に染みてわかりましたね。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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