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自分のデスクで世界中を旅する

文房具
Dec 07,2023

スタッフブログには、オムニバスでショートバージョンを掲載しましたが、こちらはその前に書いたロングバージョンです。

https://www.dig.co.jp/blog/staff/2023/11/my-favorite-collection-1.html

このペン、誰でも知ってますよね?

世界が今よりもっと不便で、外国が今よりもっと遠くにあった時代、世界共通で知られていたペンといえば、フランスのbicでもなく、ドイツのLAMYでもない。

そう、スケスケで、ペンを傾けると、中に入っているモチーフが重力で動く、カラフルなカラーリングのこのペンだと思います。

シャルルドゴールを飛び立ち、凱旋門とセーヌの上空を飛ぶ。
思い出せば、このペンと最初に出逢ったのは高校生の頃。
たぶん、アメリカからの輸入品だと思うんですが(ヨーロッパかも)、黒いワンピースの水着を着た金髪美女が印刷されたペンを傾けると、傾きによって黒い水着が消えていく(脱いで全裸になっていく)という仕掛けのペン。
すごくチープでB級ですが、現代美術のようなアートの世界観も同時に感じさせるペンでした。
素晴らしいアイデアで、考えた人をリスペクトしちゃいますね 笑
今では売っているのを見かけなくなりましたが、まだどこかで売っているのかな?
30年前から集めてきたペンたち。
原始的だけど楽しい仕掛け、金髪美女に感嘆した松本青年は、その後大学に進学し、初めて海外旅行に行くのですが、その行く先々でこのペンが売られていることを知ります。
ヨーロッパでも、アメリカでも、ハワイでもどこでも売っている(モスクワとサンクトペテルスブルグでは売ってなかったw)。
しかも、都市ごとに異なるデザインで売られていることに興味を掻き立てられました。
もちろん観光客相手のお土産品だと思うんですが、その土地土地のランドマークや文化が小さなペンの中に凝縮されていて、そこになんとも言えないロマンを感じたんです。
サセックの絵本This is シリーズのような素敵な世界を感じました。
自分が高校生の時に出逢った金髪美女の仕掛けが、その後に世界中に広がったのかどうかわかりませんが、極めて単純な構造が世界統一規格となり、ワールドワイドのスケールで世界の都市で展開されていることにオドロキを感じ、行った先々でこのペンを購入することにしたんです。
それがコレクションの始まりです。
カプリからアマルフィ、ポジターノ、ソレントは最高でした。
なぜ全世界同じ構造、金型で売られているのだろうという疑問は、コレクションを開始してからすぐに解決します。
すべてのペンにDENMARKと刻印されている。
ここでまたびっくり!
世界中の都市で売られている(知っている限りロシア以外)ペンは、すべてデンマークの会社が作っているのだ。
マジか、という感嘆。
お気に入りはベネチアのサンマルコ広場へ向かうゴンドラです。
傾けるとオイルの中の絵が動くボールペン。
正式にはFloatingPen(フローティングペン)というらしいです。
調べたら、作っているのは1946年にデンマークで創業したESKESEN(エスケセン)社。
70年以上前から伝統的な製法で現在も作り続けられ、世界各地の観光名所のお土産、キャラクターやアーティストグッズ、企業のノベルティーとして様々な場面で活躍し、コレクターズアイテムとして親しまれている、とのことです。
そういえば、Casa BRUTUSの周年付録にもついてましたね。
デンマークにある1社が世界中に商品を卸しているのでは?という予想は、やっぱり当たっていたんですよ。
すごいっすね。

今回紹介するのは、今から30年くらい前から数年に渡って買い続けたペンたちです。
友達からもらったものもあります。
集めたこれらのペンは、今でも決して色あせないし、自分の小さなデスクの上で世界中を旅することができる素敵な商品です。
見ているだけで、思い出とともに蘇って来るロマンがあります。
旅行した世界各地の思い出が詰まっています。
でも今では、このボールペンを見つけても、もう買わなくなりました。
理由はいくつかありますが、まず売ってるのを徐々に見かけなくなってきたこと。
書き心地はよいのですが、買ってもほぼ使わないこと、使わないのに高いこと 笑
当時はそんなに高くなかったんで、友人たちのお土産用にたくさん買ったのが始まりでしたが、そのあと徐々に高くなっていきました。

似たようなプロダクツでスノードームにも魅かれます。
世界中にあるスノードームも、製造元はオーストリアにある1社です。
デザインとして、原始的な構造で世界統一規格、ロマンがあるものになぜだか魅かれるということでしょう。
愛すべきデザイン、ロマンあふれるペンのコレクション。
今回見ていて、そういえば東京のペンを持ってないことに気づきました。
どこかで売っているかなぁ。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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