東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。
ブルーノ・ムナーリの子供向け教科書
Mar 04,2026
前回、前々回と六本木で開催されている展覧会「デザインの先生」関連の話をしました。
今回はその3回目。
こんなに長く引っ張るつもりもなかったのですが、展示を見て触発されて色々自分の家の本棚を探したりしていました。
探していたのは、ブルーノ・ムナーリの絵本です。
ムナーリの本をたくさん購入していたのは20年くらい前で、それは生まれた自分の長男に読み聞かせをするためでした。
でも大人でも充分に楽しめます。
むしろこれらの書籍から学べるのは、大人の方かもしれません。
アート本としても美しい。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2026/02/post-170.html
今から20年くらい前、ムナーリの書籍をたくさん購入していました。
ブルーノ・ムナーリは、1907年ミラノに生まれ、亡くなる1998年まで、アーティスト、プロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、絵本作家、理論家、教育者として、幅広い活動を展開しました。
プロジェッタツィオーネ(progettazione =プロジェクトを考えて実践するという意味)の理論的なテキストを多く残し、特に著書「ものからものが生まれる」は、現在でも多くの人に読まれています。
そして注目すべきは、日本でこの本が出版されたのが2007年ということ。
イタリア本国で出版されたのが1981年。
前回の記事でも書きましたが、ムナーリのデザイン理論は、押し寄せる資本主義による消費社会の中で置き去りにされてしまったものの、出版から20年が経過して再評価され、やっと日本でも日の目を見ることになった経緯があります。
本が出版された1981年の日本といえば、バブル前夜で、ポストモダン全盛だった時代。
資本主義がもたらす経済効果は頂点を迎えようとしていました。
そんな社会背景の中、消費のためのデザインを批判するムナーリの理論など、誰も見向きもしなかったのではないでしょうか。
去年東大が70年ぶりに新しい学部としてデザイン学部を設立するというニュースが話題になりましたが、それが示すように今多くの企業や大学が熱を帯びて唱え始めたのが「デザイン思考」。
「デザイン思考」の実践によって社会にイノベーションを起こす、その可能性を追求する潮流の原点にムナーリがいたという事実に気づかされます。
自ら課題を発見し、観察や分析を通して課題を解決することで、社会をより良くする、それこそがデザインの本質である。
国立大学である東大がデザイン学部を設立することは、日本の教育機関が「デザイン思考」の考え方に着目し、国家レベルで動き出そうとしていることを示す1つの事例でしょう。
プロジェッタツィオーネ(progettazione =プロジェクトを考えて実践するという意味)の理論的なテキストを多く残し、特に著書「ものからものが生まれる」は、現在でも多くの人に読まれています。
そして注目すべきは、日本でこの本が出版されたのが2007年ということ。
イタリア本国で出版されたのが1981年。
前回の記事でも書きましたが、ムナーリのデザイン理論は、押し寄せる資本主義による消費社会の中で置き去りにされてしまったものの、出版から20年が経過して再評価され、やっと日本でも日の目を見ることになった経緯があります。
本が出版された1981年の日本といえば、バブル前夜で、ポストモダン全盛だった時代。
資本主義がもたらす経済効果は頂点を迎えようとしていました。
そんな社会背景の中、消費のためのデザインを批判するムナーリの理論など、誰も見向きもしなかったのではないでしょうか。
去年東大が70年ぶりに新しい学部としてデザイン学部を設立するというニュースが話題になりましたが、それが示すように今多くの企業や大学が熱を帯びて唱え始めたのが「デザイン思考」。
「デザイン思考」の実践によって社会にイノベーションを起こす、その可能性を追求する潮流の原点にムナーリがいたという事実に気づかされます。
自ら課題を発見し、観察や分析を通して課題を解決することで、社会をより良くする、それこそがデザインの本質である。
国立大学である東大がデザイン学部を設立することは、日本の教育機関が「デザイン思考」の考え方に着目し、国家レベルで動き出そうとしていることを示す1つの事例でしょう。
1964年にデザインした照明器具の名作フォークランド
フォークランドの制作過程を示す「デザイン思考」。
デザインの先生の展示では、もちろん大好きなディーター・ラムスの作品に一番インパクトを受けましたが、次に興味深かったのがムナーリのコーナー展示でした。
ムナーリが手掛けたプロダクトの隣には、制作過程でムナーリ自身が考えた思考のプロセスがパネルで示されている。
アウトプットとしてデザインされた成果物(課題解決による成果物)と、それを生み出すまでの思考の過程(課題の定義とアイデア)、この2つを同時に展示するなんて、今までの展示では、ほぼ皆無だったのではないでしょうか。
これが「デザイン思考」のフレームに他なりません。
ムナーリが手掛けたプロダクトの隣には、制作過程でムナーリ自身が考えた思考のプロセスがパネルで示されている。
アウトプットとしてデザインされた成果物(課題解決による成果物)と、それを生み出すまでの思考の過程(課題の定義とアイデア)、この2つを同時に展示するなんて、今までの展示では、ほぼ皆無だったのではないでしょうか。
これが「デザイン思考」のフレームに他なりません。
霧の中のサーカスは1968年に刊行
トレーシングペーパーで表現された霧の町の様子
晩年ムナーリは、子供が知性や想像力を身に付けるための優れた教育法、ムナーリ・メソッドを開発、実践しました。
このメソッドについてあまり詳しくは知りませんが、自分が持っている書籍でも、そのメソッドの一端を見ることができると思います。
たくさんの中で、多くの人がまず最初に挙げる絵本は、「霧の中のサーカス」でしょう。
ムナーリの絵本の代表作とも言えます。
「デザインの先生」の展示会場でも、「霧の中のサーカス」との出会いで、ムナーリが自分の先生となったというエピソードが動画で語られてしました。
霧の中を抜けてサーカスを見に行くという、聞いただけでもワクワクするストーリー設定。
トレーシングペーパーを重ねた白くて不透明なシーンから、ページをめくっていくとだんだんと霧が晴れるように先が見えて来るという、とても凝ったエディトリアルデザインになっています。
直感的に伝わって来る、視覚のインターフェイスがとても楽しい。
このメソッドについてあまり詳しくは知りませんが、自分が持っている書籍でも、そのメソッドの一端を見ることができると思います。
たくさんの中で、多くの人がまず最初に挙げる絵本は、「霧の中のサーカス」でしょう。
ムナーリの絵本の代表作とも言えます。
「デザインの先生」の展示会場でも、「霧の中のサーカス」との出会いで、ムナーリが自分の先生となったというエピソードが動画で語られてしました。
霧の中を抜けてサーカスを見に行くという、聞いただけでもワクワクするストーリー設定。
トレーシングペーパーを重ねた白くて不透明なシーンから、ページをめくっていくとだんだんと霧が晴れるように先が見えて来るという、とても凝ったエディトリアルデザインになっています。
直感的に伝わって来る、視覚のインターフェイスがとても楽しい。
「闇の夜に」は1956年に出版
洞窟の様子が紙で巧みに表現されている
「霧の中のサーカス」とともに広く知られているのが「闇の夜に」。
こちらは1冊が3つのシーンで構成されています。
まず真っ黒な紙を使った夜のシーンからはじまり、トレーシングペーパーで表現した朝霧に煙る朝のシーンに変わり、そこから昼には洞窟に入っていく。
この本も、ページで時間の経過を表現していて、ページをめくるごとに一歩一歩前に進んで歩いているような感覚になる仕掛けがとてもユニークです。
調べてませんが、書籍という媒体で、歩いているようなインターフェイスを表現した絵本は他にもあるんでしょうかね。
あったら見てみたいです。
こちらは1冊が3つのシーンで構成されています。
まず真っ黒な紙を使った夜のシーンからはじまり、トレーシングペーパーで表現した朝霧に煙る朝のシーンに変わり、そこから昼には洞窟に入っていく。
この本も、ページで時間の経過を表現していて、ページをめくるごとに一歩一歩前に進んで歩いているような感覚になる仕掛けがとてもユニークです。
調べてませんが、書籍という媒体で、歩いているようなインターフェイスを表現した絵本は他にもあるんでしょうかね。
あったら見てみたいです。
「木をかこう」「太陽をかこう」は同じシリーズ
まず観察することから始めよう
最後は「木をかこう」「太陽をかこう」の2冊。
子供の頃、お絵かきの時間に誰でも木や太陽を描いたことがあると思います。
しかし、どちらもいざ描こうとすると、意外に難しい。
大人でも描くのは難しいのじゃないでしょうか。
この絵本で語られているのは、木を観察する視点です。
観察することで、木の法則を見つけて、最後には1本の木が描けるようになる。
「太陽をかこう」も同様ですが、簡単そうで、実際にやるとなかなか難しいこと、それはまず観察することから始めて、そこに法則を見つけることだとムナーリは教えています。
そして最後に実践する。
実践することで覚える。
これは先に紹介した書籍「失われた創造力へ」にも収録されている言葉そのままです。
聞いたことは忘れる、見たものは覚えている、やったことは理解できる。
ブルーノ・ムナーリ
現代において分離されてしまった2つの知性、身体的体験(暗黙知)と、客観的な知性(明示知)、この2つのレベルの違う知性を結びつけるというムナーリ・メソッドを言葉にしたもの。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2026/02/post-171.html
子供の頃、お絵かきの時間に誰でも木や太陽を描いたことがあると思います。
しかし、どちらもいざ描こうとすると、意外に難しい。
大人でも描くのは難しいのじゃないでしょうか。
この絵本で語られているのは、木を観察する視点です。
観察することで、木の法則を見つけて、最後には1本の木が描けるようになる。
「太陽をかこう」も同様ですが、簡単そうで、実際にやるとなかなか難しいこと、それはまず観察することから始めて、そこに法則を見つけることだとムナーリは教えています。
そして最後に実践する。
実践することで覚える。
これは先に紹介した書籍「失われた創造力へ」にも収録されている言葉そのままです。
聞いたことは忘れる、見たものは覚えている、やったことは理解できる。
ブルーノ・ムナーリ
現代において分離されてしまった2つの知性、身体的体験(暗黙知)と、客観的な知性(明示知)、この2つのレベルの違う知性を結びつけるというムナーリ・メソッドを言葉にしたもの。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2026/02/post-171.html
ムナーリがデザインした「おさるのZIZI」も持ってます。
今回は、イタリアの巨匠ブルーノ・ムナーリの書籍を中心に紹介しました。
この記事を書くために、久しぶりにムナーリの書籍をamazonで見てみたんですが、かなり値段が以前より上がっちゃってるんですね。
ただ自分が購入した頃は「木をかこう」のシリーズ以外は、日本語版はありませんでしたから、当時より手軽に読めるようになったことはとても良いだと思います。
谷川俊太郎の翻訳なので買う価値あります。
最後に紹介した「木をかこう」は凝った製本ではないので、お手頃な価格です。
お子さんのいる家庭に1冊あると、とってもよいと思いますよ。
子供は大人になっても絶対にこの本のことを忘れない(松本家では全員そうです!)
一応お伝えしておくと、「木をかこう」の推奨対象年齢は小学校高学年です。
対象年齢の子どもと親は是非とも!
この記事を書くために、久しぶりにムナーリの書籍をamazonで見てみたんですが、かなり値段が以前より上がっちゃってるんですね。
ただ自分が購入した頃は「木をかこう」のシリーズ以外は、日本語版はありませんでしたから、当時より手軽に読めるようになったことはとても良いだと思います。
谷川俊太郎の翻訳なので買う価値あります。
最後に紹介した「木をかこう」は凝った製本ではないので、お手頃な価格です。
お子さんのいる家庭に1冊あると、とってもよいと思いますよ。
子供は大人になっても絶対にこの本のことを忘れない(松本家では全員そうです!)
一応お伝えしておくと、「木をかこう」の推奨対象年齢は小学校高学年です。
対象年齢の子どもと親は是非とも!





