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あなたの会社はなぜ存在するのか? 3

仕事
May 09,2024

豊橋にあるプラネットという企業のリブランディングを手がけました。

今回はその3回目の投稿です。

プラネットは、自社で育てた土を使わない植物「ハイドロカルチャー」をオフィスや商業施設に提供している会社。

植物の提供だけでなく、空間設計、設備までをトータルに手掛けています。

amazonやappleのオフィスのように、最近徐々に広がっている室内緑化による健康経営を推進し、土を使わないことで廃棄の少ないサスティナブルな社会づくりを目指している企業です。

パーパスステートメントは「根からはじまるイノベーション」
ハイドロカルチャーは土の植物と比較した場合、何が違うのか?
まず空気浄化効果の差、そして虫がつかず常に清潔であること、水耕栽培のため手入れが簡単で長持ちすることなどが挙げられます。
室内の空気をキレイにし、視覚的にもリラックスや癒しを与える効果は、室内で過ごす人の健康維持に貢献できるのです。
それらの効果は、何に起因しているのか?
それは水耕栽培であるハイドロカルチャー特有の「根」にあります。
土の植物と比較すると、根がたくさん張るハイドロカルチャーは、蒸散作用や空気の清浄効果が高い。
その事実は世の中でまだまだ認知されていません。
根のチカラで社会にイノベーションを起こす。
このプロジェクトは、それを世に認知してもらうためのブランディングです。


Webトップのメインビジュアルにはブランド訴求の動画を挿入
前回、前々回の記事で、受注からパーパス策定までを紹介しました。
ハイドロカルチャーで、すべての人にWellnessを提供し、持続可能な社会を実現する、
その想いをパーパスとして定義しました。
「根からはじまるイノベーションでWellbeingな社会を創造する。」

合わせて企業がありたい姿をVISIONとして策定。
「ハイドロカルチャーと人の共生を常に考え、室内空間のスタンダードを提供する先駆けであり続ける。」

パーパスを短くまとめたステートメント(声明)も作りました。
「根からはじまるイノベーション」
当初ミッションの策定を依頼されていましたが、パーパスの理念体系を提案
あわせて、社会的課題を解決するために存在するプラネットの意義をストーリーワードとして作成しました。
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私たちは創業時から長年にわたり、
土を使わない植物の研究開発に取り組んでいます。

室内空間における根の効果に着目し、
そのエビデンスを蓄積、活用することで
さらなる技術開発に挑戦する。
時代が求める持続可能な社会を、根によって実現し、
すべての人のWellnessに貢献したい。
私たちは、根の可能性を信じています。

「根からイノベーション」を創出し、未来へつなぐ。
そのために私たちPlanetは存在します。

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定めたパーパスに合わせて、企業のロゴも新しくつくりました。
Plants(植物)+Network(理念ネットワークを広げる)というコンセプトを表現しています。
植物(プランツ)との共生をネットワークで広げていくというプラネットの理念を視覚化。
こうして、ここまで長い時間をかけて、企業の根幹となるブランド要素を定義してきました。
次に、ブランドのコミュニケーション開発フェーズに移ります。
企業ブランドの再定義とあわせて、プロジェクト開始当初からWeb構築をセットで依頼されていました。
Webは誰に対して、どのような目的としての役割を与えるのか?
ターゲットは園芸やグリーンを扱う全国の代理店、目的は社名でもある理念を拡げるための啓蒙活動の基幹メディアとして。
プラネットが定期的にハイドロカルチャーに関するエビデンスデータを発信していく場として位置づけています。
背景には全国の代理店に向けて、ハイドロカルチャーの卸業務を広げていくという目的がありました。

ハイドロカルチャーの優位性を証明するために、社内にバイオフィリア研究所を設置し、日々植物についての研究を重ねていることもプラネットの強みです。
デザインでは、オフィス空間に土の観葉植物をリースで提供する企業とは差別化するために、あえてグリーンのイメージを全面に出すことは避け、研究という要素が感じられるよう全体をコントロールしています。
ロゴで使っている2色のビビットカラーを使用し、余白を多く取ったレイアウトで、パーパスにあるイノベーションが感じられるようなデザインに仕上げました。
Webデザインはグリーンに関連する企業に「研究」のイメージもプラス。
また別の側面ですが、ここ数年デザイン業界ではモーションを用いたグラフックアプローチが増える傾向にあり、ブランディングにおいてもそれが顕著になりつつあります。
特にアメリカでは、ブランド訴求にはモーションロゴがマストのような状態になっています。
この流れは日本でも今後さらに加速すると思われます。
後押ししているのは、CapCutなどSNSでの動画編集が一般の人でも誰でもできるようになってきたことがあげられるでしょう。
今回イノベーションがテーマという背景もあり、モーションロゴの制作も行いました。


SNS向けのモーションロゴを作成
最後に名刺や封筒、PPTのフォーマットデザインへも展開しています。
これでコアとなるブランドの基礎が出来上がりました。
しかし、リブランディングの目的は、企業のロゴを変えてWebサイトをリニューアルすることではありません。
また新しいサービスを立ちあげることでもありません。
パワーポイントのフォーマットデザイン。アイコンも統一
これで終わりなのではなく、これで初めてスタートが切れるのです。
ただほとんどの場合、ここで終わってしまう企業も多いことでしょう。
ブランドを再定義することはスタートするための準備ですが、それがゴールだと思ってしまうことが大きな原因だと思います。
そこから先の計画がなく、途切れてしまう。
社員全員のマインドセットを変え、進む方向性を1つにし、行動変容まで結びつけるところまで見据えて中期スパンで取り組まなくてはなりません。
短期的な収益に直結しないことで経営層が興味を失ってしまう、あるいはデザインがキレイになったのでプロジェクト完了と思われてしまうことに起因しているかもしれません。
広告と違ってブランドは遅効的です。
なぜならブランドは利用者のアタマの中に構築されていくものだからです。
人のアタマの中にイメージを作っていくためには時間がかかります。
そのブランドを認識し、共鳴感情を抱く人が増えていく状態を目指すためには、まず社内への浸透を、そのあとに外部へと社員全員が自分の言葉で語れるようになっていくことが必要だと考えています。
最終的なゴールは、多くの人の共鳴感情、リスペクトを呼び起こすことです。
そうすれば利用者だけでなく、採用面、マーケティング面でも選ばれるブランドとなるはずです。
そのために、自分たちはなぜ存在するのかを問うのです。
共感する仲間を増やす戦略ともいえるでしょう。
プラネットの経営理念を視覚化したグラフィック
スマートフォンのデザイン
そして明確な方向性を定義することにより、社内のディシジョンが早くなる。
何のために存在しているかを問うことは、何をすべきかを決めることでもあります。
1人1人が自分で判断して行動できるようになる。
それがブランドのもう1つの良い側面であり目指すべきことです。

今回はプラネットのリブランディグのお手伝いをさせていただきました。
ここからがスタートです。
今後、「根からはじまるイノベーション」を追求して、一人でも多くの人のWellnessに貢献し、Wellbeingな社会の実現に向けて本格的な活動をしていく。
そのビジョン実現のため、今後もサポートさせていただきます。

あなたの会社はなぜ存在するのか? 第1回
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2024/03/-1-3.html
あなたの会社はなぜ存在するのか? 第2回
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2024/04/-2-2.html

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
    青山ブックセンター