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ドイツつながり? ジル・サンダーとディーター・ラムス

インテリア
Mar 22,2019

先週、表参道を散歩するときに感じる今のデザインの変化について書きました。

皆さんも表参道を散歩することがあったらちょっと周りを見てみてください。

街の移り変わりから何か感じることがあると思います。

今日はその続きともいえる内容で、同じく表参道にあるハイブランドのショップについて触れてみたいと思います。

表参道にできたジル・サンダーの新しい旗艦店
テーマは前回のようにロゴではなく、今回は主にインテリアについてです。
昨年秋、表参道に新しくジル・サンダー(JIL SANDER)の旗艦店がオープンしました。
場所はポール・スチュアートの隣くらい?坂の中腹、トッズの近くにあります。
以前この場所にはミッソーニがありましたね。
ジル・サンダーはハイブランドの中では珍しくドイツのブランド、ドイツ人女性デザイナーの名前がそのままブランド名になっています。
今ジル・サンダー本人は、ブランドのデザイナーから退いていますが、
みんなが知っているのは、数年前に彼女自身が手掛けたUNIQLOとのコラボブランド「プラスJ」じゃないでしょうか。
アンダーカバーやJWアンダーソン、イネスなどともコラボをやってるUNIQLOですが、ジル・サンダーと組んだあの企画はよかったですね。
みんなが知ってるのはユニクロとのコラボでしょう(下)
このミニマリズムを極めた空間。昭和にあった手すりの仕様
知っている人は少ないと思いますが、現在ジル・サンダーはオンワード樫山が運営しています。
以前は海外資本のジルサンダー・ジャパンが運営していました。
日本企業になって、社員の待遇はジャパンの時より下がってしまったと聞きますが、そんなこともありつつ今回はオンワードが勝負をかけた旗艦店のオープンになります。

ショップのインテリアは、とにかくミニマル。
シンプルと言ってしまえばそれまでですが、真っ白で余計な装飾がまったくありません。
広さに対して商品展示数が少ない、かなりの贅沢な空間。
最近のショップには珍しく、ホテルのように感じます。
なんだか少し懐かしい感じもあり、いったいこれ、、、、誰の設計なのだろう?
調べてみると意外なアノ人の設計でした。
ジョン・ポーソンの自邸(上)とドイツにあるサンモリッツ教会(下)
ジョン・ポーソン(John Pawson)
えー!!!ちょっと聞いて驚きました。
ミニマリズムの旗手として知られるイギリス人建築家です。
この人の名前を15年ぶりくらいに聞きました。
http://johnpawson.com/

ロンドンのデザインミュージアム、そして以前はカルバンクラインのショップの設計も手掛けていたはず。
そして一時期日本に住んで、倉俣史朗の事務所で働いていたこともあります。
その後英国に帰った彼を一躍有名にしたのは、ミニマリズムを極めた自宅の設計でした。
様々なメディアに取りあげられた自邸のデザインは抜群にカッコよくて、僕も当時彼の作品集を2冊ほど買って読み込んだものです。
東京に彼の設計した家が世田谷かどこかにあって、それもカッコよかった。
その頃、僕も家を建てるタイミングだったので、本気で彼に設計を頼もうかと思ってました。
そんなに作品が多い人ではありませんが、現在では沖縄にも彼の設計した建物があるみたいです。
ジル・サンダーの店舗でも、典型的なポーソン節があちこちに感じられます。
職人を泣かせたという、施工の難しい階段の手すりとか最高です。

ただ今日のお話は、美しいインテリアを紹介して終わりではないのです。
自分がもっとも驚いたものが地下のフロアに・・・・
最初見た時は、え?ウソ、まぼろし~(IKKO風)。
階段を降りると、そこには60年代にデザインされたドイツの家電メーカー、ブラウンのオーディオセットが!!!
マジか?マジかよ!!!
本物じゃん
ブラウンと言えばディーター・ラムス。
彼がデザインした当時のリアルなプロダクトが、平然と展示されているのです。
これに気がついて、腰を抜かす人がどれだけいるかわかりませんが、僕はマジで腰を抜かしそうになりました。
店で声を出しそうに・・・
まずデザインがサイコーすぎ。
こんな博物館レベルのものがショップで見られるなんて。
間違いなく、相当に高額でしょう。。。
ディーター・ラムスもドイツ人なので、ドイツつながりでの展示なのかな。
それは階段を下りた地下にありました。。
見てください!デザイナー本人の後ろにある組み合わせとまったく同じ。
今見ても新しい、50年前にデザインされたインターフェイス
話を聞いたら、このオーディオは今ブランドデザインを担当している夫婦ルーシー&ルーク・メイヤーの旦那の方の私物だそうです。
この夫婦、奥さんはラフ・シモンズ、旦那はシュプリームのデザイナー出身。
ハイブランドとストリートのミックスという、現在のトレンドをそのまま地で行くような夫婦ですが、ここにディーター・ラムスを持ってくるセンスには、本当にシビれます。
ラムスが手掛けた素晴らしいデザインたち。
スティーブ・ジョブスの片腕として、iPhoneをはじめapple製品のほとんどのデザインを手掛けた英国人デザイナー、ジョナサン・アイブ。
彼が引用したのがディーター・ラムスのプロダクトデザインでした。
Apple製品には、60年代に発表されたブラウンのプロダクトデザインとの類似点が数多くあります。
ラムスがいなければ、appleの快進撃もなかったかもしれません。
近年アイブはその功績が称えられて、英国でSirの称号が与えられました。
上がラムスの手掛けたブラウンのデザイン、それを引用したアイブ(下)
歴史的に見れば、博物館展示レベルの貴重なプロダクツなのは間違いないです。
そんな製品が無料で、しかもこんな身近で見られるなんて、ジル・サンダーやるなぁと。
ちなみに今季のジル・サンダーのコレクションは、すこぶる評判がよいようです。
エディ・スリマンに代わってロケンロールになってしまった新生セリーヌに見切りをつけた顧客たちが、ジル・サンダーに流れていると聞きます。

表参道に行く機会があったら、新しくオープンしたジル・サンダーのインテリア、そしてディーター・ラムスの手掛けた博物館レベルのオーディオを見に行きましょう!

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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