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コインランドリーの体験型デザイン戦略 

ライフスタイル
Aug 06,2019

シリーズでお伝えしている(してないけどw)代々木上原の小売り店舗に見るリテールビジネスの変化と限界。

開業から40年経過するあたりで、台頭するマーケットプレイスの波に勝てず、淘汰されていく愛おしいお店たち。

70年代に開業した書店、文房具、蕎麦屋、スーパーなどが、次々と閉店に追い込まれています。

次の世代に引き継がれなかったことが背景にあると思いますが、次の世代も引き受けられない実情が目の前にあるのでしょう。

メカニカルなデザインの繰り返しは萌えます。
3年前まで幡ヶ谷の西原商店街にあった文房具店アビー。
昭和31年の創業から60年、店先にたくさんの商品を陳列するスタイルが、とってもユニークなお店でした。
閉店する前、オヤジさんから息子さんに引き継がれて営業していたんですが、少子化の波とアマゾンには勝てず、とうとう消えてしまった。(代々木上原駅前にあった文具の錦宝堂もほぼ同時に閉店)
その跡地にできたのは、パドラーズコーヒー系のスカしたライフスタイルショップ(ギャラリー併設)
このお店は、ポパイの特集でも紹介されていました。
昭和の愛おしい店のあとにできるのは、決まってイマドキのお店なのです。
惜しまれつつ閉店してしまったアビー
さて今日はクリーニング屋のことを書きますね。
クリーニング業界も、服を箱に入れて送れば、洗って返却してくれるベンチャーの宅配クリーニングが現れたり、無人コインランドリーの新しいビジネスの台頭が目立ってきています。
無人コインランドリーと言っても、銭湯にある昔のそれとは違うモデル。

中目黒や恵比寿など、特に単身者が住む駅の周辺には、この新しいコインランドリーが出現しています。
無人なので、運用コストの大半を占める人件費がかからず、スペースさえあれば少ない投資ですぐに開業できるのがコインランドリーのビジネス。
代々木上原は単身者が住む町ではまったくないのですが、それでも出現してきました。
上記の例に漏れず、こうしたスカした新しいビジネスモデルの台頭の陰で、歴史あるクリーニング店がひっそりと閉店に追い込まれています。
90年の歴史に幕を起こしたカンダ
代々木上原の駅前にあった巴屋というクリーニングは3年前に閉店
今はチェーン店の白洋舎が頑張ってますが、代々木上原駅から少し歩いた場所、住所でいうと富ヶ谷にカンダというクリーニング店がありました。
こちらはなんと、この場所で創業したのが昭和4年。
今から90年前ですよ!!!
なのに、なのに、あ~それなのに、去年の年末、残念ながら閉店してしまいました・・・・
新しいビジネスとして現れた新手のランドリー
ランドリー内は広いです
そして上述した事例に漏れず、、、
その跡地ではないですが、そこから歩いて少し行ったところに、新しいイマドキのビジネスが。。
新手のクリーニングベンチャービジネスの旗艦店です。
コインランドリーの機能もありますが、有人でクリーニングの受付カウンターもあります。
店内にはカフェが併設され、パンも販売されていて、ウェイティングエリアに多くのスペースを割いています。
ミニマルなクリーニングマシンのデザインと、シンプルな家具の組み合わせはカッコいい。
そしてこれもお約束ですが、イマドキのインテリアやグラフィックで武装している。
この武装が誘蛾灯のような機能を果たし、人を吸い込むのでしょう。
いま時代、戦うためには武装はマストとなりました。
テイクアウトできるパン屋がランドリー内に併設されています。
ちょっと高いけどそこそこ美味しいパン
そしてこれもマストですが、恵比寿の人気のパン屋・クロスロードベイカリーとコラボしています。
カタネベーカリーや365が仕切る代々木上原エリアで勝負するなら、ここで手を抜いてはいけない。
いえ、もしかしたら本業よりも、こっちの方が手を抜いたら絶対にアカン。
既に認知されている話題店と手を組むことは、武器として重要です。

今まで退屈だったコインランドリーでの待ち時間が、読書や学習、食事や雑談、もっと行くとコミュニケーションの体験に変化して、ここから何かアイデアが生まれるかもしれないというのがコンセプトでしょうか?
退屈な時間が楽しい体験、日常の中で決まったルーティンの時間の使い方に割り当てられるということ。
わかりやすい例だと、ランチ兼ねて毎週土曜の昼はクリーニングみたいな?
コインランドリーとしてではなく、カフェとして利用する人もいるのかなぁ
個人的に疑問なのは、コインランドリーってそもそも皆さん行きますか?ってこと。
日本人ってまだまだ家で洗うんじゃないのかな?
家で洗うよりランドリーはお金かかるだろうし、毛布とか大物しか洗わないのではないかと。
そして代々木上原は、単身者が相当少ないエリア。
感度の高いクリーニング店を作っても、果たして毎週のように来る人いるのか?と。
外国人と、意識高い系でちょっとお金持ってる人を狙っているなら、週末フィットネスに行くような感覚でしょうか。
定期的にフィットネスに行くのと同じ感覚で、クリーニングに通うってことを狙っているなら、
2階をフィットネスジムにしちゃったらいいのにね。
洗っている時間と、ワークアウトのメニューの時間を揃えたりw

まだできたばかりなので、しばらく様子を見てみたいと思います。
1つの目的を持って訪れる場所に、もう1つ別のニーズをプラスすることで、新しい体験型のビジネスが生まれそうですね。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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