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コーポレートブランディング読本

仕事
Aug 29,2019

まったく営業をしてないので、仕事はいつも突然の問い合わせから。

京都に本社がある企業から、コーポレートブランディングの相談を受けたのも突然でした。

介護施設への人材派遣ビジネスを手掛けているキャリアスターという企業です。

どこかで和を感じさせるロゴに。
相談内容は、主に3点
・これから東京に進出するので企業名を変えたい
・それに合わせてロゴを作りたい
・それと一緒に企業理念も定義したい

他のブランド策定の会社にもいくつか相談したが、上から目線で対応されたり、高額な見積もりを提示されたり、困っている状況とのことでした。
京都へ赴いて対面で打ち合わせをした後、僕たちがこのプロジェクトを引き受けることになり、業務はスタートです。
他のプロジェクト同様、経営層と担当者の方に複数回ヒアリングを行うことから始めました。
親しみやすくコトリ(小鳥)をモチーフにした第1次提案。
3つの要素から発想した案も提出しました(一部)
その中で聞き出すのは
・誰に対して(ステークホルダーの定義)
・何をしたいのか(プロジェクトの目的)
・私たちは何のためにここにいるのか(企業の社会的存在意義)
・これからどこへ向かっていきたいのか(ミッション)

ブランディングとは、自分たちに深く問うことです。
・自分たちが満たせる根源的なニーズは何か?
・自分たちは真に何を提供できるのか?
それが他との差別化につながる、成長の原動力です。
選ばれた家紋・水引のプランを掘り下げた2次提案。
知らない人に街で突然、あなたの会社が目指していることは何ですか?と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
もし、うちの会社が目指しているのは全国に50店舗出店して売上100億を達成することです、と答えたら、残念ながら誰もあなたの会社に対して興味は持たないでしょう。
コーポレートブランディングの目的は、1人でも多くの人から共感や感情移入を引き出し、人材採用、組織文化、マーケティングの各面で優位性を獲得することです。
企業がもっとも大事にしているものは何か?という質問に対して、経営層の方にヒアリングすると、どうしても収益性という答えが全面に出てしまいがちですが、ここは繰り返しこちらの意図を説明し、掘り下げていく必要がある重要なポイントです。
使用書体のスタディ
こちらはカラーのスタディ。
それまでのキャリアスターという社名は、人材派遣の業界で星になるという意味でつけられたそうです。
変更するにあたり、要望は2つ+αありました。
キャリアというワードは使いたくない、本社のある京都を連想させたい、できれば親しみやすい方がよいというものでした。
決まったロゴの中心にはハートがあります。
答えは必ず、自分たちに向き合って発言した言葉の中にあります。
何度もなぜ?をヒアリングしていく中で、そのヒントがありました。
この企業の使命は、1人でも多くの方に介護の現状を知ってもらい、一人でも多くの”介護のプロフェッショナル”を世の中に送りだすこと、
高齢化社会の課題を解決するためには、派遣する企業、介護施設、派遣される求職者、この3つのネットワークがあってこそはじめて成立するという現実です。
その考えを込めてスローガンを開発しました。
「3つのネットワークで、介護の未来を変革する」
企業スローガンと理念はマニュアルにも記載します。
「私たち」「介護施設」「求職者」3つの要素=トリオ(TRIO)、京都を感じさせるワード=古都(KOTO)を組み合わせた造語で社名を考案しました。
株式会社Kotrio
SNS展開を視野に入れ、マーク単体でも使える仕様に。
ロゴも3つのネットワークから発想しました。
日本の伝統文化である水引をモチーフに、3つの円を組み合わせています。
3者を結ぶことで日本の未来を変革するという使命感を込め、京都から全国に進出する旗印・家紋として考案しました。
色は日本の伝統色でありつつ、メタリック印刷でも対応できる色を選びました。
介護ビジネスは人ありき、人と人がつながり助け合う、という先方の言葉から、マークの中心に人を表現するハートのカタチを挿入しているのが味付けです。
スローガン、企業理念、ロゴマークが1つのコンセプトで統一されていることは、ステークホルダーに対して、社員誰もが説明できることを意味しています。
こちらが和文併記の完成版です。
既に新宿にオフィスを構えて東京支社が稼働しています。
この旗印のもと、理念を掲げて風に向かって旗をなびかせて前進していってもらえれば嬉しい限りです。
皆さんもCI、VIでお困りの節は、是非1度ご相談ください。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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