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シン・シリーズ3作目 仮面ライダーを君は見たか?

映画
Mar 23,2023

シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、そして遂にシン・仮面ライダーが公開されました!

前作2本を劇場で見てきた自分は、今回も公開日翌日に劇場へ。

皆さんはもう見に行きましたか?

相変わらずオリジナルに忠実なタイトルロール。
子供の頃、男の子が好きなテレビヒーローは3つに分かれてました。
まずウルトラマン、レンジャー戦隊、そして仮面ライダーです。
親の影響なのか、番組の内容なのかキャラなのか、よくわかりませんが、女子が聖闘士星矢、プリキュア一択なのに対して、男子には選択肢が複数あったということです。
自分はウルトラマンと仮面ライダーはめっちゃ見てました。
でもどちらかと言えば、仮面ライダーよりもウルトラマン派だった。
デカくなったり小さくなったりするレンジャー戦隊の世界観は、2つのいいとこ取りみたいで、あんまりでした。
他にも仮面ライダー的な等身大のキャラは、キカイダー、ロボット刑事、バロムワン、ライオン丸、変身忍者嵐、ウルトラマン的なヒーローは、レッドバロン、マッハバロン、ミラーマン、スペクトルマン、イナズマン、レインボーマンなどなど、
全部めっちゃ見てました(共働きの一人っ子で鍵っ子だったんでね)
そんなたくさんの昭和ヒーローの中で、後発のレンジャー戦隊を除いて、もっとも人気があって後の世代まで残ったのが、ウルトラマンと仮面ライダーってことですね。
色々な意味ですごく面白かったですよー。もう1度見たいです。
世代にもよりますが、昭和の時代は仮面ライダーよりも先に人気に火が付いたウルトラマンの方が長く支持されていたように思います。
自分はなぜウルトラマンが好きなのかと言えば、やっぱり特撮セットの要素が大きかった。
等身大の仮面ライダーが怪人と戦う場所は、東京郊外にあるダムや採石場など、人のいない場所が多く、特撮で作られた世界感はほぼなかった。
ウルトラマンの方がドリフターズのコントのように、人の手によって作り込まれた(規模の大きい)世界観があったから好きだったのだと思います。
サンダーバードのような作り物のミニチュアも含めて。
そう、そこに子供ながらクリエイティブを感じていたんですよね。
ゴジラもそうです。
しかしそれが裏目に出たのか、時代を追うごとに荒唐無稽な設定のウルトラマンは、リアリティが薄いという理由で、徐々に人気が下火となり、等身大の仮面ライダーの方が現代っぽくてリアリティがある(作り物感が薄い)またイケメンの俳優を次々と登用したことでお母さんたちにも人気という現象が起きて、今の人気につながっているという感じでしょうか。
今は子供向けのヒーローの中で、最も人気が高いコンテンツは仮面ライダーではないかと思います。
浜辺美波演じる緑川ルリ子は、シン・ゴジラの石原さとみと似ている。
なので、シン・ゴジラ公開の際に、合わせてシン・仮面ライダーの制作発表がされた時には、かなりの話題になりました。
でもシン・ゴジラやシン・ウルトラマンの時のように、TVで予告CMもやらないし、ほとんど宣伝活動をやってない。
なんで??
そうこうしているうちに、一部のファンを除いて、多くの人が知らないであろう状態で封切られました。
なんで宣伝しないのだろう?
でも自分はウルトラマンと同様、公開されてから速攻で見に行ったんですよね。
映画館は混んでました。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/05/post-124.html
昭和と令和で、こんなに違う蜂女のキャラクター。昭和の蜂女は怖い…
感想は、
まずゴジラ、ウルトラマンを見た時も同様ですが、庵野監督は並々ならぬ才能がある人だということを実感。
シン・仮面ライダーは、どちらかというとウルトラマンに作り方が似ています。
ゴジラと違って、どちらもテレビシリーズだからでしょうか。
過去のオリジナル作品を忠実に再現しながら、現代の新しい解釈もうまくそこに導入している。
過去のファンが喜ぶオタク的なポイントはしっかり押さえながらも、オリジナル作品を知らない人であっても、十分に楽しめる作品に仕上がっているのです。
前者の割合の方が少ないでしょうけれど。
この映画をきっかけに、過去の偉大な作品に皆がもう1度注目して欲しい、スポットを当てたいという意志を感じました。
そこにあるのは愛ですね。
カルチャーへの深い愛を感じないわけにはいかないです。
蜘蛛男の造形の違い。令和の蜘蛛オーグの方がカッコいい。
映画の最初に出てくる蜘蛛オーグは、1971年4月に放映された仮面ライダーの第1話「怪奇蜘蛛男」の内容ほぼそのままです。
緑川博士も出てくるし、仮面ライダー登場シーンも、ショッカー戦闘員に囲まれるシーンも、ダムで戦うシーンも、カメラアングル含め、カット割りもほぼオリジナルまんまなことにビックリです。
こんなに忠実に再現する必要あんのかよ、ってくらい50年前のまんまなんですが、見ているほとんどの人はこのことに気が付かないことでしょう。
僕も劇場で見た後、youtubeでチェックして知りました。
そこにあるのは愛しかないですね。
こういうのはスターウォーズと黒澤明監督の映画を比較するような、オタクならではの楽しみ方なんじゃないでしょうか。
よく見てください!50年前とまったく同じ場所で撮影しているんです。
後ろの白い塔の建物からわかるように、場所もカメラアングルもまったく同じ。
異なるのは、いくら相手がショッカー戦闘員であったとしても、自らの手で人間を殺してしまったことに対する、自責の念に駆られて落ち込む主人公の本郷猛の描かれ方。
極めて人間っぽい理性を持った主人公として描かれています。
他にも昭和版の強烈なキャラが記憶に残っている蜂女が出て来たり、詳細までチェックしてないですが、カメラアングルも含めて、原作との共通点は多々あるのじゃないかと思います。
長澤まさみが巨大化するシーンとか、ウルトラマンもそうなんでしょうね。
仮面ライダーだけではないです。
劇中のところどころに、昭和のヒーローへのリスペクトが出て来ます。
自分の大好きな、仮面ライダーよりも好きだったキカイダー、そしてサナギマンから変身するイナズマン、注目すべきはロボット刑事Kへのオマージュが出てくるところでしょう。
ハリウッド映画ロボコップの日本版のようなヒーローキャラ、ロボット刑事K。
誰が知ってるんだよっていう、あんまり知られてないキャラクターなんですけど、ロボットなのに刑事だからハンチングを被っているという強烈なキャラで、笑
シン・ウルトラマンの中でも、ミラーマンへのオマージュが出てきたのと同じです。
上は自分も大好きだったキカイダーゼロワン、下はロボット刑事K。
そうした昭和ヒーローだけでなく、エヴァンゲリオン、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンの要素と結びつけながら、過去と現在を結び、カルチャーを再提示しつつ、現在のドラマに仕上げていることに感銘を覚えます。
映画の前半はちょっと色々なものを詰め込み過ぎで、ダイジョブかと若干心配になりますが、後半は泣かせます。
人間ドラマになっているんです。
あちこちにオリジナルの断片、その他の昭和ヒーローからの引用がありますが、それを知らなくても十分に楽しめる映画だと思います。
これを見て、僕のように過去のオリジナルを見てみようっていう気になる人が多くいるのは間違いないし、それを想定した前提の作りになっているのが特徴でしょう。
みんなに見つけてもらいたい、という謎解きの要素がたくさん仕込まれているんですね。
ライダーのマスクから髪の毛がハミ出てるんですが、それもオリジナルからの引用。
庵野監督は、間違いなくオタクです。
でもオタクでありながら、作画もできて、ストーリーも書ける。
自分を育ててくれたカルチャーに敬意を払いながら、そこへ新しい視点を導入するという本当に類稀な才能の持ち主だということを実感しました。
もしこれをカルチャーではなく、定期的に劇場公開されている通常版の仮面ライダー映画のように、数字を取りに行っていたなら、ジャニーズを起用した薄い映画になっていたことでしょう。
その意味で大ヒットはしないかもしれません。
でも広い意味で多くの人にクリエーションを問う意味のある仕事だと思います。
テレビシリーズだけでなく、石ノ森章太郎の漫画も含めて検証・分析・変換・再構成したというクリエイティブの比重が大きい映画。
シン・仮面ライダーのキャッチコピーがそれを表しています。
「変わるモノ。変わらないモノ。そして変えたくないモノ。」

皆さんも是非映画館へ足を運んでみてください。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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