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今日本で一番アツい場所はどこだ? その4

旅
Sep 21,2022

広島の尾道からスタートするしまなみ海道。

尾道から3つ目の島、生口島で宿泊したあと、さらに四国方面へ向かいます。

そこにもまたリノベーション戦略の施設が。

しまなみシリーズ、こちらで最後の投稿になります。

https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/09/-3.html

ここがホテルなんですよ、、、1-2は部屋番号。最初ビックリしました。
生口島を出て、さらにしまなみ海道を四国側へ進むと、昔神の島と言われた大三島があります。
広島ではなく、ここから住所は愛媛県。
ここにも、またまたリノベーションしたホテルがあります。
これだけたくさんリノベーションできる建物が建っているというのも東京じゃあり得ないですね。
びっくりなんですけど、明治10年に建てられた150年前の小学校の校舎をホテルにしているのです。
木造の校舎をよくここまで残してくれたというのもありますが、それをホテルにリノベーションというプランもなかなか。
なんと150年前の小学校の木造校舎、スゴイ・・・・。
遠くから見ると確かに校舎ではありますが、、、伊東センセ凄いです。
目の前は海で、こんな海の真ん前に小学校を良く作ったなと思います。
各部屋には1-1、1-2などクラス名が書かれた木の札が昔と同じ状態でぶら下がっています。
「憩いの家」という優しい名前の宿泊施設なんですが、リノベーションは建築界の大御所 あの伊東豊雄大先生です。
オープンは2018年。
近くには、伊東豊雄建築ミュージアムもあります。
樹齢2600年のクスノ木がある四国随一のパワースポット、海の守り神として知られる大山祇神社もこの島にあります。
山本五十六も訪れたこの神社も見どころです。
今治の絶景に建つ伊東豊雄建築ミュージアム。
愛媛県に行ったのは生まれて初めてでしたが、そこからUターンして、再びしまなみ海道を戻り尾道へ。
尾道にも見ておかなければならない施設が。
尾道にあるU2もそうでしたが、ここもリノベーションホテル。
階段をかなり上った山の上にある施設です。
いやぁ車で登れないこの場所まで建築部材を階段で運ぶのは相当に大変だっただろうなと。
こちらは築60年の集合住宅をリノベーションしたホテルで、建築はインドの建築家スタジオ・ムンバイが手掛けています。
インド人の感性って触れることあまりないと思いますが、優しい色の繊細なペールトーンで建物が構成されています。
それぞれの色面のマチエールに表情があり、微妙に異なる色相の組合せでした。
内装のいたるところに角の丸いアールの仕上げがあり、色と相まって優しい空間。
躯体は残しているので、全体の見た目は昭和の団地って感じですが、その中でもトイレのリノベーションが一番良かったです。
センスを感じますね。
カフェもあるので、インスタ女子がたくさん来ていました。
こちらも50年前の集合住宅をリノベーションしたホテル。
確かに昭和の高級マンションのエントランスってこうなってましたよね。
芸能人御用達のラグジュアリーな施設、中村拓志の代表的な仕事 ベラビスタ。
インバウンドとサイクリングをメインに、谷尻誠が設計したデザイン施設U2。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/09/-2-1.html

アマンの創業者ゼッカが手掛けた築140年の邸宅で味わう時間のクオリティ。
Azumiと同じく、K5と同じ人物が仕掛ける美しい銭湯ホテル yubune。
東京と瀬戸内を結び、イマドキの旬なライフスタイルと食を体験できるsoil。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/09/-3.html

伊東豊雄によるファミリーユースを狙った明治の小学校に泊まるという体験。
インド人建築家による話題のインスタスポット LOG。
トイレのリノベーションにセンスが伺えました。
と、色々見て回ったんですが、やっぱりカルチャーを見るのは楽しい!!
それに尽きます。
作り手側の戦略を見るのはとても面白い。
キーワードはリノベーションという手法、それがこれでもか!っていうくらいありました。
持続可能な社会、と繰り返し刷り込まれてきて、推奨される社会活動の面からも建物を残しながら、ブランディングに切り込んでいる施設ばかりですが、ただターゲットの設定はすべて違っているということがとても興味深かったですね。
ターゲットがかぶっている施設は1つもない。
古いものをどこまでチューニングするか、それはすなわち、ターゲットをどこに設定するかということに直結するため、プランの重要な部分を占めます。
築140年の豪商の家、アマンの創業者、この2つのキラーワードだけでも人は魅かれますが、なかなかどうして他の施設も負けないストーリーを持っています。
作るデザイン、というより活かすデザインのサンプルを多く見てきた印象で、それらはグラフィックというよりも建築や空間のあり方の方が優先されていると思います。
リノベに誰を起用するか、というのは大きいでしょう。
元の建築がまず良いというのが前提ですが、それを活かして付加価値を作ること。
いわば2つの異なる要素を組み合わせて「マッシュアップ」する手法で、新たな価値を提示すること。
プランの核は、ユーザーの新たなインサイトを見つけること、今回見てきた事例は、1つ1つ異なるインサイトへの着眼と、それに対する独自の戦略アプローチがあってとてもユニークで面白かった。
微妙な色合いと表情を持つ壁面。
新しくもあり、懐かしくもあるホテルLOG
最後に、、、
ちょっとあまり関係がない話ですが、久しぶりにカルチャーの旅を終えた感想を。

自分が若い頃は子供が3歳なのに、ミラノやローマ、バルセロナへ連れて行って、バチカン美術館で絵を見たり、子連れで大人の観光をしていた時期もありました。
ただベビーカーを持って行ったとは言え、歩かない上に抱っこしなければならず、とてもキツかった。
幼い2人を連れて2回目のイビサに行ったときは、もうシティは無理だなと感じた次第で、、、、
真夏のベネチアに行った時も、船しか交通のない場所では歩くしかなく、歩かない子供を抱っこして歩くことは限界でした(倒れるかと思いました…)
その経験から、その後の行先はハワイ、プーケット、サムイ、バリなどを選び、いわゆるアイランドリゾートのホテルに滞在して、敷地内でゆったりと時間を使うという旅に切り替えていたんです。
高学年になった子供だけを連れてパリ、ロンドンなどシティに行ったこともありました。
しかし家族全員となるとシティはやっぱり大変で・・・・
最近は上の子たちが大きくなってきて、カルチャー欲も出てきたこともあり、今回は再びカルチャー方面の旅に=シティに舵を切る選択を、実に15年ぶりに選んだ旅となりました。
で、その感想は?と言えば、やっぱり下の兄弟にしたらキツイ。
神社の階段は登らないし、暑くて歩かない。
当り前ですが、国宝だからとか、せっかく来たのだからという理由は彼には通じないのでした。
ここまで何度か沖縄を旅先に選んだものの、シティである本島を外してきた理由は、離島のホテルに滞在し、そこだけでゆったり時間を使う前提にしないとキツいという背景がありました。
ホテル以外に行くべき場所がある場合は、カルチャーに触れると旅となり、ここまで書いてきたような事態が発生する可能性が大いに高まります。
大人は歴史やカルチャーに触れると、その文脈が自分の琴線に触れ、深く記憶に刻まれる旅となります。
今回初めて行ったしまなみ海道には、そうした大人の学習意欲を煽るカルチャーがあって、自分には久しぶりに、とても刺激的でした。
ワクワクしてとても楽しかった。
でも全員で行くにはまだ早かったかなぁ・・
家族みんなが満足できる旅ってすごく難しいということを実感しました。

というわけで、4回のシリーズでお送りしてきましたが、しまなみ海道はやはり個人的には日本で今一番アツい場所だと思います。
すごく刺激を受けました。
東京都内でデザイン戦略を見るよりも、ずっと面白い。
デザインだけではありません。自然も歴史も、新しいライフスタイルも、素晴らしい要素満載です。
ぜひ皆さんにも是非おすすめしたいです。
松本が保証します!
新幹線で食べるマイコーの手作り弁当。ホントに美味しかった。
最後の最後に、
しまなみ海道のシリーズ1で触れた、25年ぶりに会った福山の友人。
https://www.dig.co.jp/blog/danwashitsu/2022/08/post-130.html

その時はお互いに独身で、今回福山に行くまで2回しか会ったことのなかった女子。
彼女が最終日に福山駅まで見送りに来てくれて、新幹線の中で食べるようにと、松本家の家族全員に手作りのお弁当を手渡してくれるという、、、、
まさかの、本当にまさかの愛のこもった素敵なお土産をいただきました。
本当にありがとう!泣きそうでした。
今回の旅がさらに深い記憶に、そして日本で一番アツい場所ということが確信に変わった瞬間でした。

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松本知彦 Tomohiko Matsumoto

東京新宿生まれ。
漫画家の父親を持ち、幼い頃より絵だけは抜群に上手かったが、
働く母の姿を見て葛藤し、美術を捨てて一般の道に進むことを決意。
しかし高校で出逢った美術の先生に熱心に説得され、再び芸術の道に。
その後、美術大学を卒業するも一般の上場企業に就職。
10年勤務ののち、またしてもクリエイティブを目指して退社独立、現在に至る。

  • 趣味:考えること
  • 特技:ドラム(最近叩いていない)
  • 好きなもの:ドリトス、ドリフターズ、
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